みなした
水無田 気流(みなした きりう)
プロフィール

第34話

ー 大五郎、科学実験は続くよどこまでも ー

 わが一子大五郎(仮名)、現在10歳3か月。わが子ながら、変人に育ってしまった。2017年は台風の当たり年だったが、大雨の最中、さっきまで居間でゲームをやっていたはずのヤツが、レインコートを着てずぶ濡れになって帰ってきた。どうしたの、と聞くと、「あんまり雨が降ってくるから、傘を逆立てて雨を受けたらどれくらいまで水がたまるか実験して、たまった水がどさっと落ちるのを見てた!」とどや顔である。
 大五郎は、小学校では科学クラブに入っているのだが、先日は小麦粉を練って作ったというタンパク質の固まりを大事そうに持って帰ってきた。しばらくにやにやしながらその白い物体を眺めていたと思ったら、冷蔵庫に放り込む大五郎。「凍らせたらどれくらい固くなるのかと思って!」とのこと。その時はふーんそう、くらいだったのだが、数日後大学から来た郵便物を開封しようとハサミを使ったら、刃が開かない、よく見ると、白い粉のようなもので刃がくっついてしまっている!?見れば、家中のハサミやカッター類が、すべて白い粉末まみれにのかぴかぴである。……うん。わが家でこんなことをする犯人は1人しかいない。「どうしてこんなことをするの?」と聞いたら、ヤツは「凍ったタンパク質の硬さを試そうと思って、切ってみた。」と、しれっと言う。
 ……おかげで、家中のハサミとカッターが悲惨なことになっているよ。「犠牲なくして、科学の進歩なし!」やかましい!実験道具は使ったら洗って元通りにしなさい!
 ……その後もヤツの無駄な実験は続き、最近は日がな一日練り消しゴムを練って、何やらにやにやしている。何をするつもりかは、恐ろしくて聞けない。ヤツの場合、あまに変なことをする、というレベルではなく、「全行動がほぼ奇行」なので、もはやいちいち理由を尋ねるのも面倒になってしまった。いつか落ち着く日が来るのだろうか。まさか一生このままでは……!?親の苦悩は続く。

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破線